総合健診
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メタボリックシンドローム対策・特定保健指導に向けての理学療法士の関わり
鏑木 康宏鳥居 直美白井 正樹斎藤 和彦
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2008 年 35 巻 5 号 p. 411-415

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抄録
平成20年4月から40~74歳を対象に特定健診・特定保健指導が始まった。東芝健康保険組合を母体とする当院では, 特定保健指導をモデル的に行い, 全国的に動機付け・積極的支援を展開していく前段階として, 東芝従業員被扶養者層に対する生活習慣改善セミナーを開催した。減量に対する誤った知識を是正し, 個々の行動変容ステージや体力, 生活背景に合わせた食事と運動の指導を行った。運動習慣や行動変容ステージ等の把握身体測定, 血液検査および体力測定として筋力, 持久力, 柔軟性, バランス能力を評価した。各種講義を行い, さらに「目標管理」の運営法を用いたグループワークにて自己の行動目標設定を行った。また, 理学療法士が運動指導に関わるチームアプローチの形態を採った。
当日の参加者は女性17名, 平均年齢57±5.9歳, BMI24.6±1.6であった。測定結果では, 内臓脂肪蓄積の目安とされる腹囲と, 筋力r=-0.45およびバランス能力 (総軌跡長r=0.40・矩形面積r=0.54・外周面積r=0.54) の間に負の相関関係が見られた。また, 運動習慣の有る群は体力数値が有意に高かった (p<0.01) 。これは, 内臓脂肪蓄積を助長する生活習慣においては体力低下が見られ, 膝痛など整形外科疾患やADL低下を招く可能性がある。体力向上を図り生活習慣改善を行うために, 運動習慣が必要であることが明らかとなった。グループワークでは, 参加者の問題点が明らかになり自己に必要な目標を導くことができ, 100%実行できるとの回答があり動機付けの手段としては非常に有効であった。
運動を習慣化するためには, 筋力やADLが関わることからも多職種とともに理学療法士の参加は非常に有効であった。
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