抄録
緩和ケア病棟入院中の非治癒期担がん患者に対して, 早期の疼痛緩和によるQOL向上をめざして, WHO疼痛緩和ラダーに則った疼痛緩和クリティカルパスを開発した.本クリティカルパスは, マイクロソフトエクセルを用いて作成し, 日々, 疼痛, 副作用 (悪心・嘔吐, 便秘, 傾眠, 混乱など) の評価を行い, その結果とゴール (1: 良好な睡眠確保, 2: 安静時の疼痛緩和) を照合し, 翌日の薬剤投与量を自動的に決定する.主薬剤はオキシコドン徐放製剤で, 低用量 (10mg/日) から開始することにより, 強オピオイドであるにもかかわらず, 弱オピオイドと同等に扱える利点を利用し, WHOラダーの第2段階から第3段階へ薬剤を変更せず移行できる.本クリティカルパスを10例に適用し, すべて7日以内に第2目標まで達成でき, 一定の満足も得られ, ひろく一般病棟でも使用できると考えられた.