抄録
扁桃周囲炎から咽後膿瘍, 縦隔洞炎に進展し, 治療経過中に十二指腸潰瘍が穿孔した1例を報告した. 膿瘍の急速な進展に対して外科的切開を実施する時期を逸し, 結果として縦隔洞炎という重篤な合併症を引き起こした. またステロイド剤, 解熱・鎮痛・消炎剤, 抗生物質の投与やストレスが誘因となつて生じたと思われた十二指腸潰瘍を併発し, さらに潰瘍による消化管穿孔を生じた. 深頸部感染症のような急性炎症性疾患の場合, 病態を十分に把握し, 時機を逸しない適切な処置が必要である. ステロイド剤や解熱・鎮痛・消炎剤の使用にあたつては, 消化管潰瘍の発生にも留意し, 予防的に粘膜保護剤やH2-blockerなどの抗潰瘍薬の投与が必要である.