2016 年 19 巻 2 号 p. 132-140
われわれは以前にポリイミド(PI)上のメタライズ方法として無電解Niめっきを用い,高い密着強度のフレキシブル銅張積層板が得られたことを報告した。しかし,これを用いて配線形成を行うと配線が剥離した。その原因を調査した結果,形成した配線のPIとNiめっき膜の界面にアルカリ性のレジスト剥離液が浸透して配線裏面にアルカリ浸透層が形成され,その浸透層を酸系薬液が通ってNiめっき膜を腐食して配線が剥離していることが明らかとなった。この薬液の配線裏面への浸透にはPI上にNiめっき膜を析出させるために設けた表面改質層の厚みが関係しており,表面改質層をナノレベルまで薄膜化することにより配線剥離を防ぐことに成功した。