2024 年 27 巻 1 号 p. 143-149
Ag-3 at%Cu合金膜を用いた大気中の原子拡散接合法によるウエハの接合性を評価した。接合が伝播する最長の大気暴露時間texpは,Ag薄膜の場合は約500 sと短いが,Ag-Cu膜では2.6 × 105 s (72 h)まで増加した。室温接合後の接合界面の表面自由エネルギは0.1 J/m2以下と小さいが,texp = 1 × 104 s (3 h)以下の接合では100°Cの熱処理により,また,texp = 2.6 × 105 s以下では150°Cの熱処理により,いずれも強固な接合が得られた。成膜時にCuが膜表面に析出することでAgの凝集が抑制され,大気暴露時間に対する接合性能が向上したものと考えられる。