感光性結晶化ガラスは立体的, 微細加工が可能であるため, エレクトロニクス分野での幅広い応用が期待される。従来, ガラス上への回路用導電膜はドライプロセスにより形成されてきた。しかしながら, ドライプロセスでは, 立体的, 複雑形状の基板には均一な成膜は困難である。本研究では, エッチング後の感光性結晶化ガラスの表面形態とガラス素材上の銅めっき膜の密着性を検討した。ガラス表面はガラスと銅めっき膜の間の密着強度を改善するためにフッ化物をベースとしたエッチング液で適切に粗化した。エッチング特性は結晶化の状態によりまったく異なった。非晶質状態, 完全結晶質状態の感光性結晶化ガラスでは, 銅めっき膜とガラスの密着強度を改善する適切なエッチング形態が得られた。完全結晶化状態では, 低濃度のフッ化水素酸での処理でアンカーサイトの形成がなされ, 銅めっき膜とガラス表面の密着強度は1.7kgf/4mm2程度であった。優れた密着強度は結晶質中のLi2O・SiO2, に富んだ部分を優先的にエッチングすることで得られるアンカー効果によるものと考えられる。