ビフィズス
Online ISSN : 1884-5134
Print ISSN : 0914-2509
9 巻, 1 号
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  • 森下 芳行, 澤入 淑人, 小澤 修, 大塚 耕太郎
    1995 年 9 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    O-β-D-galactopyranosyl-(1→4)-O-β-D-galactopyranosyl-(1→4)-D-glucopyranose (GL) を2.5%含有する精製飼料または2%あるいは4%含有する飲料水をICRマウスにそれぞれ4週間および3週間与えて, 盲腸内のフローラと短鎖脂肪酸濃度の測定を行った.乳糖2.5%含有飼料に比べて, GL2.5%含有飼料給与群においてはStaphylococcusの顕著な減少 (p<0.001) が認められたが, その他の菌群には有意な変化は認められなかった.ただし, Bifidobacteriumのフローラ占有率は乳糖群の2倍であった.短鎖脂肪酸濃度はGL飼料群において顕著な増加が認められた (p<0.01).特にプロピオン酸およびn-酪酸の増加が顕著であった (p<0.01-0.001).GL溶液 (2%, 4%) を飲料水として与えた場合, 酢酸, プロピオン酸およびn-酪酸はGL濃度に比例的な増加を示した (p<0.05-0.01).特にn-酪酸濃度の増加率は最も大きかった.一方, iso-酪酸およびiso-吉草酸は顕著な減少を示した (p<0.05-0.01).GLは単なるBifidobaclerium増殖因子のみでなく, その他のn-酪酸産生細菌の促進因子となり得ることについて考察した.
  • 石川 文保, 高山 博夫, 松本 圭介, 伊藤 正紀, 長南 治, 出口 ヨリ子, 菊地(早川) 弘子, 綿貫 雅章
    1995 年 9 巻 1 号 p. 5-18
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    (1) βガラクトシダーゼの転移反応を利用して乳糖から転移2糖を含むβ 1-4系ガラクトオリゴ糖混合物 (4'-GOS) を調製し, 腸内細菌叢構成菌株によるiIn vitro資化性試験およびヒトへの投与試験 (難消化性の検証および菌叢や腸内代謝活性への影響) を行った.(2) In vitro資化性試験において, 転移2糖は乳糖を利用可能な菌株に資化された.3糖はBifidobacterium属の5種と, Lactobacillus acidophilus, L. reuteri, L. salivarius, Mitsuokella multiacidus, Enterococcus faeciumとStreptococcus intermediusに資化され, 4糖はB. adolescentis, B. breve, B. infantis, E. faeciumに資化された.精製されたガラクトオリゴ糖の再構成混合物は2糖と3糖の中間的な資化性を示した.(3) 4'-GOSを投与したヒトから呼気を採取し, 含まれる水素ガスの有無を調べたところ, 20名中17名に顕著な水素ガスの発生が観察された.このことより, 4'-GOSは難消化性のオリゴ糖混合物であることがわかった.(4) 被験者をBifidobocteriumの比較的少ない人の群 (4'-GOSを2.5g/day投与した群) と比較的多い人の群 (10g/day投与した群) に分けて3週間投与したところ, 両群ともにBifidobacteriumが増加し, とくに2.5g投与群ではBifidobocteriudm菌数の維持も認められた.糞便中の胆汁酸量について, 両群ともに投与によってdeoxycholic acidの減少傾向が示された.また被験者各個人の非1次胆汁酸量 (deoxycholic acidとIithocholic acidとursodeoxycholic acidの合計量) では, 2.5g投与群で9名のうち7名 (78%) と10g投与群で8名のうち7名 (88%) に減少がみられた.糞便中の酢酸, プロピオン酸, 酪酸は10g投与群で減少したが, 有機酸全体に対する構成比率は変わらなかった.(5) 以上のことより, 4'-GOSはヒトに対して難消化性であることが確認されるとともに, Bifidobacteriumを増殖させることがわかり, さらに胆汁酸代謝にも影響を与える可能性も示唆された.
  • 渡辺 正義, 尾崎 孝幸, 平田 佳久, 吉国 義明, 木村 喜代史, 石古 博昭, 横田 悦男, 内野 卯津樹, 光岡 知足
    1995 年 9 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ラクチトールの腸内細菌に対する作用をin vitroおよびin vivoの系でラクツロースと比較検討した.Ih vitroの系では, 両薬物のヒト由来腸内細菌 (11菌属, 35菌種, 48菌株) による資化性を48時間培養後の培地のpHを測定することにより検討した.ラクチトールは48菌株中15菌株に資化されたのに対し, ラクツロースは37菌株に資化された.ラクチトールは乳酸産生菌であるBifidobacteriumLactobacillusには比較的よく利用され, BacteroidesClostridiumには利用されにくかった.また, C.perfringensはラクツロースを資化したが, ラクチトールを資化しなかった.In vivoの系においては, ラットに薬物を7.5日間反復経口投与して盲腸内容物の細菌叢に対する作用を検討した.ラクチトール投与により, ラクツロースの場合とほぼ類似した腸内細菌叢の変化が観察された.ラクチトール3g/kg/日群でBifidobacteriumの増加, 10g/kg/日群でenterobacteriaceae, Streptococcus, Bifidobacteriumおよびbacteroidaceaeの増加が観察され, ラクツロース3g/kg/日群でBifidobacterium, Streptococcusの増加, 10g/kg/日群でenterobacteriaceae, StreptococcusおよびBifidobacteriumの増加が観察された.とくに, 両薬物ともBifidobacteriumを顕著に増加させた.一方, C. perfringensはラクチトール投与群では検出されなかったのに対し, ラクツロース10g/kg/日群では8例中3例に検出された.
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