抄録
細菌がヒトと共存してきた数十万年にわたって細菌は消化管のなかで安定なニッチを維持するために高度に特殊化した手段を発達させてきた.これを達成するために細菌は宿主と一体となって行動し完全に集積されたエコシステムをっくり, 常在性フローラのニーズと能力に応じて生息場所が形成されるよう, 宿主の遺伝子発現とその機能を修飾することによってそのプロセスを促進してきた.このことは宿主であるヒトに甚大な影響を与え, われわれ自身の健康はフローラに依存しているといえる.宿主との相互依存的な相互関係をっくりだすために腸内フローラが使用している戦略を判読することによって, われわれはヒトの生理反応の形成と維持のための完全に新しい理解を手にすることができる.遺伝学的に精選されたモデル宿主と微生物の組み合わせ, 制御された腸内環境を与えるノトバイオロジー, そして高分解能をもった分子生物学的技術はこの探索のためには極めて重要である.これらの洞察が多くの疾病の病因はもちろんのこと機能性についてより正確な理解を与えてくれ, さらに疾病の治療と予防のための新しい扉を開いてくれるであろう.