腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
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16 巻 , 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 五十君 静信
    2002 年 16 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    腸内菌叢は, 通性嫌気性および絶対嫌気性の細菌や古細菌の数十の属に及ぶ数百の菌種で構成されている.その菌数は1×1014を上回る.そして, 腸内容物の半分を占めている.宿主動物に生理的にあるいは免疫的な影響を与える.このことは, 以下の二つの考え方を支持している.1.腸内細菌叢は, 自然界で人間が生存するのに必須の器官である.2.ヒトは, 高等な動物細胞と細菌や古細菌からなる細菌叢の共生体である.このような考え方は, 21世紀に行われるヒトを対象とした生物学や進化論, 健康の推進, 病気の診断や治療に関する研究に重要な影響を与える.これらの研究の多くは, 分子生物学と遺伝学の手法により行われる.このレビューは, どのようにしてこのような技術を利用しわれわれの能力を高めてゆけば, 細菌叢の有用な影響を増強し有害な影響を抑えることができるかに主眼をおいている.
  • 梅崎 良則, Per FALK
    2002 年 16 巻 2 号 p. 115-129
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    細菌がヒトと共存してきた数十万年にわたって細菌は消化管のなかで安定なニッチを維持するために高度に特殊化した手段を発達させてきた.これを達成するために細菌は宿主と一体となって行動し完全に集積されたエコシステムをっくり, 常在性フローラのニーズと能力に応じて生息場所が形成されるよう, 宿主の遺伝子発現とその機能を修飾することによってそのプロセスを促進してきた.このことは宿主であるヒトに甚大な影響を与え, われわれ自身の健康はフローラに依存しているといえる.宿主との相互依存的な相互関係をっくりだすために腸内フローラが使用している戦略を判読することによって, われわれはヒトの生理反応の形成と維持のための完全に新しい理解を手にすることができる.遺伝学的に精選されたモデル宿主と微生物の組み合わせ, 制御された腸内環境を与えるノトバイオロジー, そして高分解能をもった分子生物学的技術はこの探索のためには極めて重要である.これらの洞察が多くの疾病の病因はもちろんのこと機能性についてより正確な理解を与えてくれ, さらに疾病の治療と予防のための新しい扉を開いてくれるであろう.
  • 石橋 憲雄, 山崎 省二
    2002 年 16 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクスには従来より安全と考えられている菌種が使用されてきた.それらは主にヒトや動物の腸管に生息する菌で, 乳酸菌やBifidobacteriumである.しかし近年プロバイオティクスに属する菌種が頻繁に感染源から分離されるようになり, その安全性に対する議論が高まっている.本報告においては, 感染源からの分離の実態を紹介すると同時に, プロバイオティクスの安全性を判断する要件として感染性, 有毒性, 菌の固有性質等をあげ, 個々に対するレビューを行う.また安全性を判断する手法として, 無菌マウスに対するB.longurn BB536の単独定着と, それにより起こるBacterial Translocationさらに免疫応答を紹介する.
  • 久米村 恵, 齋藤 幹泰, 岡松 洋, 堂前 友子, 磯野 義員
    2002 年 16 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Pediococcus pentosaceus IDS 885 のヒトにおける大腸到達性および8種類の野菜濃縮液をPc.Pediococcus pentosaceus IDS 885 のヒトにおける大腸到達性および8種類の野菜濃縮液をPc.pentosaceus IDS88 5により発酵させた新規醗酵野菜飲料の摂取がヒト腸内細菌叢に及ぼす影響を調べた.成人男女12名に, 1白100gの醗酵野菜飲料 (生菌数5×108CFU/g) を4週間摂取させ, 摂取5白前, 摂取3白目, 摂取1週目, 摂取2週目, 摂取3週目, 摂取4週目および摂取中止1週目の糞便を回収し, Pc. pentosaceus IDS885 の菌数を調べた.また, 摂取前, 摂取4週目の糞便については細菌叢の検索を行った. Pc. pentosaceus IDS885 は, 摂取前いずれの被験者の糞便からも検出されなかったが, 被験物摂取期間中Pc. pentosaceus IDS885 は, すべての被験者から106~107CFU/g程度検出された.摂取中止により, いずれの被験者からもPc. pentosaoeus IDS885は消失した.醗酵野菜飲料の摂取により, 12例中8例においてBifidobacterium占有率は増加した.また, 摂取前Bifidobaoterium占有率が15%未満であった5名では, Bifidobacterium占有率は10.2±1.5%から21.7±12.8%へ増加し, Baoteroides占有率は69.2±12.5%から59.5±18.396へ減少した.これらのことから, Pc. pentosaceus IDS885は生きたまま大腸に到達することが明らかとなった.さらに, その菌株を用いた醗酵野菜飲料は, ヒト腸内細菌叢に対する改善効果を有することが示唆された.
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