2025 年 37 巻 3 号 p. 96-105
本論は、一般的に抱かれる悪鬼のイメージを相対化し、鬼の観光資源化を自明視する通念に対して批判的視点を導入し、鬼に関する観光活用と、その背後にある社会的要因を明らかにすることを目的とする。かつて恐怖や排除の象徴とされていた鬼は、戦後以降、観光の文脈で親しみやすい存在へと再構築されている。現代において、鬼の観光活用は、地域の行事を観光資源に活用する「祭礼型」と、鬼の説話に基づく「物語型」に分類される。これらの地域の多くは非大都市圏地域に位置し、地域活性化の手段として機能している。また、消費社会における文化的象徴としての鬼の価値の高まりが、観光資源化をさらに促進している。