2006 年 20 巻 2 号 p. 2_22-2_30
目 的
消費者の立場から経済的評価方法を活用して出産前教育の価値を明らかにするとともに,価値付け内容とその価値に関連する要因を探索することである。
対象と方法
出産施設に通院中の妊婦383名を対象に,仮想評価法(Contingent Value Method:以下CVM)を利用し,出産前教育に対する支払意思額(Willingness to Pay:以下WTP)による出産前教育の価値,価値付け内容,価値に関連する要因について自記式質問紙を用いて調査した。
結 果
1.出産前教育の価値として回答された出産前教育へのWTPは,無回答34名(8.9%),0円とした回答32名(8.3%),1円以上の有料回答315名(82.8%)であり,有料回答内のWTPは平均900.8±675.5円であった。
2.出産前教育の価値付け内容は,[他者との交流],[専門性への期待],[出産・育児の具体化],[不安・ストレスの軽減],[個別性の重視],[家族関係の変化への適応],[場の雰囲気作り],[物質的な充足]および[状況・環境の設定]の9要素であった。
3.WTPには,妊娠週数および出産前教育の参加経験の有無が関連し,妊娠・出産・育児への不安,出産前教育への参加動機との関連性が示唆された。
結 論
出産前教育の価値は,WTPとして平均900.8±675.5円として示され,妊娠週数がすすみ,出産前教育に参加経験がある人ほど低い傾向にあった。また,その価値付け内容として9要素が抽出された。