抄録
目 的
出生後早期における児の中枢および末梢深部温と腋窩温を同時測定することにより,Late Preterm児の至適温度環境を探る。また,現状の腋窩温による体温管理のあり方について検討する。
対象と方法
対象はLate Preterm児6名であり,生後4~12時間の中枢深部温,末梢深部温および腋窩温を同時測定した。中枢深部温と末梢深部温は深部体温計を使用し,体温プローベは腹壁(中枢深部温)と足底(末梢深部温)に装着し,1分毎に連続測定を行った。腋窩温は2~3時間毎に測定し,体温データは平均と標準偏差を求めた。また,腋窩温と中枢深部温は測定回数が異なるため,中枢深部温は比較する腋窩温を測定した時間を含む前後15分の平均値をとり,腋窩温との相関および温度差を求めた。同時に各ケースの体温変化のパターンも視覚的に分析した。
結 果
腋窩温は平均36.6~36.9℃(平均36.8℃)であり,Late Preterm児のガイドラインにある腋窩温で管理されていた。中枢深部温は36.9~37.2℃(平均37.1℃)であり,中枢深部温は腋窩温より0.3℃高い値で強い正相関を認めていた(r=0.75~0.99)。また,中枢深部温は変動幅が小さく,ほぼ一定の値を示していたが,末梢深部温の変動幅は大きく,ケースによりさまざまな変動パターンを示していた。
結 論
1.腋窩温は中枢深部温よりも約0.3℃低く,強い正の相関を認めたが,腋窩温と末梢深部温は有意な相関関係を認めなかった。
2.腋窩温がガイドラインの範囲で管理されていても,中枢深部温と末梢深部温の差は0.47~1.87℃(平均1.00℃)であり,各ケースにより,その差はさまざまな推移を示していた。
3.Late Preterm児において中枢と末梢温の同時測定は出生後早期より行うことの有効性が示唆された。