日本助産学会誌
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助産師による避妊教育・相談に関する実態調査
山本 真実江藤 宏美渡邊 浩子松﨑 政代小黒 道子橋本 麻由美片岡 弥恵子
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2023 年 37 巻 1 号 p. 39-48

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抄録

目 的

本研究の目的は,助産師が行っている避妊教育や相談の実態を明らかにすることである。

対象と方法

医療機関,地域, 教育機関で活動している助産師を対象とし,無記名のWeb質問紙調査を行った。調査内容は,避妊に関する個別相談・集団教育の実施(3年以内),対象者,実施場所,実施内容,個別相談・集団教育の実施に際しての促進因子・阻害因子とした。量的データは記述統計量を算出し,質的データは内容分析を行った。

結 果

708名の助産師からの回答を得た。避妊に関する個別相談は278名(39.3%),集団教育は274名(38.7%)が3年以内に実施した経験があった。個別相談の対象は,複数回答にて順に出産後入院中の女性155名(55.8%),人工妊娠中絶前後の女性61名(21.9%)であった。実施場所は,病院・クリニック・助産所が206名(74.1%)と最も多かった。集団教育の対象は,出産後入院中の女性107名(39.1%),中学生104名(37.8%),高校生95名(34.7%)であった。実施場所は,学校・大学164名(59.9%)が多かった。実施内容は,個別相談,集団教育ともに,「避妊方法に関する一般的な情報提供」が最も多く,それぞれ246名(88.5%),263名(96.0%)であった。個別相談・集団教育の促進因子は,助産師の知識,スキルの向上が最も多かった。阻害因子としては,パートナーへのアクセス困難,学校での教育内容の制限などがあった。

結 論

助産師の避妊相談・教育とも実施率が40%程度であり,避妊教育・相談の実施促進に向けての課題が明らかになった。助産師は,避妊に関する一般的な知識だけでなく,専門職として避妊に関する深い知識と支援スキルを獲得し,女性を支援することが必要である。

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