日本外傷学会雑誌
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症例報告
心肺停止患者に対するCPRにて生じた肝損傷症例
西村 健岡本 彩那藤崎 宣友白井 邦博山田 勇中尾 篤典小谷 穣治
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2017 年 31 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

 心肺停止患者における胸骨圧迫は有効である一方,肋骨骨折や胸骨骨折,臓器障害などをきたしうる侵襲的処置である.我々は肺動脈塞栓症による心肺停止患者2症例を経験した.両例とも胸骨圧迫を含めた心肺蘇生法とveno-arterial Extracorporeal Membrane Oxygenation(VA-ECMO)を導入した後に撮像した造影CTにて横隔膜下肝損傷を認めた.1例は開腹止血術にて救命できたが,保存的加療を行った1例は出血により死亡した.

 抗凝固薬を使用した患者では胸骨圧迫による合併症リスクが高まる.ダメージコントロール手術を含めた積極的加療が有効である可能性が示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本外傷学会
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