2022 年 37 巻 1 号 p. 39-47
研究の目的 本研究では、予期不安からパニック発作を繰り返し、家族から片時も離れられない生活が続いている高齢の女性に対して脱感作法と心拍バイオフィードバック法による介入を行った。その際、ウェアラブル端末を用いて心拍数を繰り返し測定することで介入の効果検証を行った。場面 対象者の自宅において介入を実施した。対象者 90代前半の女性で、パニック障害と診断されていた。介入 A条件では家族が外出して1人になった場面を思い浮かべるイメージ脱感作をした。B条件では、家族が実際に外出し段階的に離れている時間を延ばすことで脱感作を行った。イメージ脱感作と現実脱感作中の心拍数の変動をフィードバックした。行動の指標 リラクセーション法の指標として心拍数を測定した。結果 介入によって約半年間、家族から片時も離れられない生活から30分は家族が離れて生活できるようになった。2か月後のフォローアップ時には平日は1人暮らしができるようになった。結論 予期不安によるパニック発作を起こす高齢者に対して、心拍バイオフィードバック法を取り入れた脱感作法が有効であった。