抄録
道具的関係性攻撃が仲間関係の認知に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,979 人の小学4~6年生を対象に,仲間関係の質(Best Friend との相手理解,自己開示の程度)と量(相手理解と自己開示をしている/されているクラスメートの人数)および攻撃性(反応的表出性攻撃,反応的不表出性攻撃,道具的関係性攻撃)について質問紙で調べた。攻撃性と性別から仲間関係への影響を明らかにするために,2要因分散分析を行った。道具的関係性攻撃のみが高い児童は低攻撃児に比べて,Best Friend から自分に対しての自己開示が高いと認識していた。さらに,低攻撃児に比べて,自分に対して自己開示している,または相互に自己開示していると認識しているクラスメートの人数が多かった。最後に,高道具的関係性攻撃男児は低攻撃男児に比べ,Best Friendからの相手理解,自己開示を受けていると認知しており,同様に,高道具的関係性攻撃男児は低攻撃男児に比べ,自分に対して相手理解,自己開示を示していると認識しているクラスメートの人数が多かった。