抄録
本研究は,専門学校生を対象に記憶の種類に関する説明文を学習材料とし,学習時や説明産出時に教示する説明相手の違いによる学習効果について検証した。説明相手は,学習内容に関する既有知識の多寡(年下と教授)で設定したが,実験1では相手の違いによる効果は説明予期時のみではみられなかった。次に,実験2では説明相手を教示するタイミング(説明予期時や説明文産出時)による学習効果ついて検証した。その結果,年下を教示した上で学習を行い,同様の相手に説明文産出を行うことで学習効果があることが示された。効果が得られた理由を明らかにすべく,産出された説明文の内容を比較した。その結果,説明予期時に具体的な説明相手を教示せず,説明文産出前に教示を行った場合には,学習内容について理解の深さが伴わない傾向が示された。