抄録
難聴が認められないにもかかわらず日常生活上できこえの困難を訴える例があり,学業や日常生活における困難は発達支援の課題となっている。きこえ困難に関連して学齢児を対象とした報告は散見されるものの,幼児を対象としたものは見当たらない。本研究では,5歳児を担当する保育士2名に,担当する幼児を対象としてきこえの困難検出用チェックリストへの回答を求めた。その結果,きこえ困難が4点以上あるとされた幼児は5.1%であった。きこえ困難を有する幼児児童の割合は,学年進行に伴い減少する傾向がうかがわれたものの,今後さらに検討する必要がある。発達障害様との関連についても検討したが,発達障害様の行動問題を有するものも有しないものもあり,きこえ困難の背景が多様であることが示唆された。学業や生活への影響を考えると,遅くとも就学と同時に対応を開始することが重要であり,きこえ困難児を就学前に検出することが求められる。