抄録
症例1は53歳男性の透析患者で,突然の腹痛で受診した.CT上,門脈ガスと腸管虚血あり,緊急に小腸切除術を施行した.症例2は76歳女性で,腹満主訴で搬送された.CT上,門脈ガスを認め,炎症反応高値のため緊急手術したが腸管壊死はなく閉腹した.症例3は高血圧と糖尿病で通院中の83歳女性で,腹痛,嘔吐と意識混濁で搬送された.CT上,広範囲な門脈ガスと小腸の拡張を認めた.保存的治療を開始したが22時間後,全身状態悪化し緊急に小腸切除術を施行した.症例1,3は病理組織学的検査所見で非閉塞性腸管膜虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia,以下NOMI)と診断した.症例2は臨床的にNOMIを疑ったが確定診断はできなかった.NOMIは予後不良とされてきたが,門脈ガス血症の重要な原因疾患の一つであることを念頭に,適切な治療を選択すべきである.それが救命率の上昇に貢献しえる.