抄録
Sn–Cu–Ni系およびSn–Zn系鉛フリーはんだへのCuの溶解特性を調査し,Sn–Ag–Cu系はんだの結果と比較した。Sn–Cu–Ni系においては,Ni添加量0.15 mass%までは,添加量の増加とともに,Cuの溶解速度が減少した。NiおよびCu添加によるCuの溶解速度抑制効果は,Cu–Sn–Ni三元系状態図を用いて,液体中の溶質飽和濃度(Cs)と溶質濃度(C)の差(Cs−C)より予測できることを示した。Sn–Zn系はんだでは,界面にCu–Zn系の反応層が生成しバリア層として働くことにより,Cuの溶解速度はSn–Cu系およびSn–Ag–Cu系に比べ著しく抑制されることが明らかとなった。