2015 年 44 巻 1 号 p. 21-24
症例は男児.在胎38週3日,体重2,880 gで仮死なく出生し,生直後より高度のチアノーゼを認め心エコー検査にて両大血管右室起始(DORV)と診断され同日当院NICUへ緊急搬送された.大血管関係は大動脈がやや右後方,肺動脈がやや左前方であり,心室中隔欠損は肺動脈弁下に存在するposterior TGA型DORVであった.漏斗部中隔は三尖弁側の心室漏斗部皺壁(VIF)側に挿入し,心室中隔にほぼ整列していた.手術は日齢25に胸骨正中切開・体外循環下に行った.心停止下に三尖弁経由に心室中隔欠損(secondary IVF)を閉鎖(心室内血流路作成)し,次に動脈スイッチ手術を行った.冠動脈パターンは1R2LCXのShaher 9型であり,trap-door法を用いた冠動脈移植を行った.肺動脈再建は前方転位を行わないJatene原法を行った.術後血行動態は早期から安定し,術後2日に人工呼吸器離脱,術後19日に退院した.