日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
[大血管]
慢性解離性大動脈瘤破裂に対して Candy plug 法を施行した1例
新津 宏和横山 毅人木南 寛造川合 雄二郎豊田 泰幸津田 泰利白鳥 一明竹村 隆広蜂谷 貴
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 45 巻 4 号 p. 200-204

詳細
抄録

慢性B型解離性大動脈瘤破裂に対し,Candy plug法を用いて偽腔閉鎖を行うことにより治療し得た症例を経験したので報告する.症例は57歳男性.以前に臓器虚血を伴う急性B型大動脈解離を発症し,腹部大動脈開窓術の既往があった.その後大動脈径の拡大を示し胸部ステントグラフト内挿術によるEntry閉鎖を施行したが,開窓部から偽腔内への逆行性血流が残存し1年後に破裂に至った.順緊急的にCandy plug法を用いて偽腔血流を遮断し,術後11日目に独歩退院となった.術後7カ月を経た現在偽腔の縮小傾向を認め,慎重に経過観察中である.慢性B型大動脈解離においてCandy plug法による偽腔閉鎖法は人工血管置換術のハイリスク症例にとっては有用な治療法の1つとなり得るが,今後更なる慎重な経過観察が必要であると考えられる.

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top