日本食物繊維学会誌
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大麦若葉末を摂取した健常成人女性の糞便湿重量および糞便内細菌叢への影響
池口 主弥有浦 由紀高垣 欣也石橋 千和稲永 亜紀子片山(須川) 洋子
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2004 年 8 巻 2 号 p. 93-103

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抄録
 大麦若葉末による排便量の増加を定量的に把握できることを目的に、対象者8名を用いて糞便湿重量測定試験を実施した。また、大麦若葉末の腸内細菌叢に与える影響を調べるために、糞便内細菌叢を分析した。さらに糞便湿重量測定とあわせて糞便目安量を記録させることで実測値と目測値の間に相関関係があるかどうかを検討した。 試験は試験食品摂取期間7日間、対照食品摂取期間7日間のクロスオーバーとした。試験は2回行い、試験1では試験食品として1日あたり6.09(食物繊維として2.2g)の大麦若葉末を摂取させ、試験2では1日あたり10.09(食物繊維として3.69)の大麦若葉末を摂取させた。糞便内細菌叢の測定は試験1のみで実施した。 その結果、1日あたり6.0gの大麦若葉末摂取において糞便湿重量が増加傾向にあり、1日あたり10gの大麦若葉末摂取において糞便湿重量が有意に増加し、対象者全員で顕著な増加および増加傾向が認められた。 大麦若葉末の摂取によりバナナ状および半練り状の割合が増加し、便性状が改善する傾向にあった。糞便内細菌叢の測定において悪玉菌であるLecithinase(+)ClostridiumおよびLeczthinase(-)Clostridiumの検出率が低下した。 糞便湿重量と糞便目安量の間には有意に強い正の相関が認められたことから目測換算法による糞便目安量は実測の糞便湿重量を反映しているものと考えられる。 大麦若葉末を摂取することで腹痛が散見されたが、いずれも軽度~中度であり1~2日程度で回復した。その他胃腸症状の変化は認められなかった。 以上より、大麦若葉末は便通改善効果が高く、消化管に負担の少ない安全性の高い素材であると推測される。
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