教育心理学研究
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原著
大学卒業時のキャリアレジリエンス形成度合の規定因としてのアルバイトを通したジョブ・クラフティング経験
児玉 真樹子
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2024 年 72 巻 2 号 p. 99-109

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抄録

 本研究では,学生時代に行ったアルバイトにおけるジョブ・クラフティング経験が,卒業間近の大学生のキャリアレジリエンス形成度合の規定因として働く可能性を検証することを目的とする。3月末に卒業予定の大学4年生を対象に2023年2―3月にインターネット調査を実施し,521名分のデータを得た。大学在学中にアルバイトでジョブ・クラフティング(仕事,人間関係,認知的次元)を行った経験と,卒業間際でのキャリアレジリエンス(問題対応力,ソーシャルスキル,新奇・多様性,未来志向,援助志向)の状態を測定した。共分散構造分析の結果,キャリアレジリエンスの問題対応力にはジョブ・クラフティングの仕事次元と認知的次元から,ソーシャルスキルと援助志向には人間関係次元から,新奇・多様性と未来志向には認知的次元から正のパスがみられた。これよりアルバイトでのジョブ・クラフティング経験がキャリアレジリエンスの形成度合の規定因となる可能性が示された。大学生のキャリアレジリエンスの形成度合を高めるためには,様々なスキルを活用し一定の決定権限が持てる仕事内容のアルバイトに従事し,ジョブ・クラフティングを行うことが重要と言えよう。

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© 2024 日本教育心理学会
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