抄録
本研究は,WBT(Web Based Training)を演習科目の補助教材として使用したとき,WBT教材を積極的に利用する人と,WBT教材をあまり利用しない人の違いを,パソコン操作に関するいくつかの個人特性と比較する実験により明らかにした.比較した個人特性は,過去の研究からパソコン操作に関連性があるものを選び,パソコン操作に対する苦手意識,行動/状態志向性,リスク志向性,テクノストレス症候群とした.実験は,自作したHTMLとC言語に関する文字情報中心のWBT教材を演習科目の補助教材として適用し,WBT教材利用回数とプレテスト・ポストテストの結果からWBT教材の有用性をT検定により検証した.次にWBT教材利用回数と個人特性の関連性を重回帰分析により明らかにした.その結果,パソコン操作に対する苦手意識は,WBT教材利用回数を寄与率11〜16%で説明することがわかった.つまり,パソコン操作に対して苦手意識を持っている人にとって,WBT教材を適用しても学習する機会が少なく教育効果が相対的に小さいことになる.