抄録
本稿は,電子メールコミュニケーションの送信者と受信者の間の感情伝達の程度に注目した.著者らは,送受信著間の感情伝達の程度と,コミュニケーション過程で生じた感情の関係を調べるための実験を行った.22名の被験者に,2人1組で電子メールを使ってコミュニケーションを行ってもらった.この過程で被験者が解釈あるいは予測した相手の感情と,実際の相手の感情との一致の程度に基づいて,被験者を感情伝達の高群と低群の2群に分けて,生じた感情を比較した.その結果,感情伝達の低い被験者は,有意に高く敵意感情やネガティブ感情を生じていた.結果から,感情伝達の程度が低いことと不快な感情の経験が高いことの関係が示唆された.