本研究では,遠隔方式のカウンセリングの認知的評価を,対面方式・音声方式と比較することによって行った.その結果,評価要因として,「カウンセラーの受容的態度」「カウンセラーに対する好意的認知」「カウンセラーへの情報伝達」の3因子が抽出された.各方式間の評価要因の差異を検討したところ,全ての要因において,対面方式が音声方式を上回った.また,「受容的態度」「好意的認知」において,遠隔方式が音声方式を上回った.しかし,遠隔方式と対面方式の間には有意な差は認められなかった.また,評価に影響を与える要因として「好意的認知」が3方式に共通した評価要因であることが明らかとなった.インタビューから得られた知見としては,遠隔カウンセリングにおける問題点として,(1)視線の不一致,(2)自己画面の提示の2点が中心に挙げられた.この2点の改善が,遠隔カウンセリングの向上において,大きな役割を果たすと考えられた.