抄録
本研究では,授業実践理解と解釈を通して受講生が学習理論の理解を深めていく協同問題解決活動を支援するカード型補助教材の開発と,その学習効果の実証的な検討を行った.電子教材を導入した初年度と,さらにカード型補助教材を付加した次年度において,受講生の講義終了後の最終レポートの観点別評価や,協同問題解決活動自体を分析し比較検討することで,カード型補助教材の持つ学習効果を明らかにすることを試みた.最終レポートに基づいた内容理解の分析と学習活動中の対話分析の結果,初年度から次年度に向けて受講生の理解が向上し,協同問題解決活動も活性化したことがわかった.こうした結果は,カード型補助教材が実践授業を見る適切な視点や,相互交渉を活性化するための外化物として有効に機能したことを示している.