わが国においてこれまで十分取り組まれてこなかった学習評価を体系的に学ぶ講義科目であるX大学教育学部「初等教育実践基礎Ⅳ」を事例として,教員志望学生の学習評価に関する力量向上に本講義がいかに寄与するかを質問紙調査と評価イメージを中心に検討した. 講義前後の質問紙調査の結果から,すべての項目で事後の上昇が認められ,本講義の成果が確認できた.しかし,21世紀型スキルに代表される「今後求められる評価の理解と実践」に関する「実践」の観点が他と比較して低く,単元案の作成でも課題が見られたことから,教材のデザインや工夫のあり方が浮き彫りとなった. また,受講者の評価イメージに関しては,講義前後で「固定」から「変動」への統計的に有意な変化が確認された.このことから,本講義が教員志望学生の学習評価に関する認識の転換にもつながっていたことが明らかとなった.