日本教育工学会論文誌
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論文
歴史をテーマにしたMOOC における反転学習モデルの評価
大浦 弘樹池尻 良平伏木田 稚子安斎 勇樹山内 祐平
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2018 年 41 巻 4 号 p. 385-402

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抄録

一般の人々に大学の公開オンライン講座を提供するMOOC(Massive Open Online Course)が急速に拡大している.MOOC は講義動画を中心とした学習コンテンツで構成され,受講者は掲示板上で他の受講者と交流できるが,なかには講師による直接の指導や他の受講者との対面学習を希望する受講者もいる.本研究では,日本史がテーマの一般向けMOOC で,講師の指導のもと他の受講者と議論を通した対面学習を希望する受講者に対し,MOOC コンテンツを事前学習に位置づけ,グループ演習中心の対面学習と連動させた反転学習の実践データから反転学習の効果を評価した.具体的には,修了合否と知識の活用力としての歴史的思考力に対する反転学習の効果を,受講者属性やオンライン学習行動による効果も踏まえ,それぞれの効果の大きさを比較して検証した.その結果,修了合否に対しては反転学習の有意な効果は確認されず,動画視聴と掲示板活動の効果がより大きく,高齢者や非大卒の受講者に修了率がやや低い傾向が示唆された.一方,歴史的思考力に対しては本講座の修了者を対象に反転学習のより大きな効果が示され,動画視聴と掲示板活動の効果は小さく,年齢や学歴の効果も限定的であった.

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© 2018 日本教育工学会
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