2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 025-028
本研究は,高校生の言語性-空間性ワーキングメモリ容量の個人差に着目して,理科4分野に対する得意不得意との関連を明らかにすることを主たる目的とした.その結果,言語性ワーキングメモリはすべての分野の統制感と関連していたが,空間性ワーキングメモリとの関連は物理と地学分野に限定されていた.さらに,物理分野に対する統制感の性差は空間性ワーキングメモリによって部分的に媒介されている可能性が示された.本研究の結果と先行研究の成果を総合し,言語性ワーキングメモリ容量は学習全般に対する得意不得意に,空間性ワーキングメモリ容量は物理・地学分野に固有な得意不得意と関連するものと考察された.