日本教育工学会論文誌
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有用性思考方略尺度の作成
大学生の日常およびキャリアに対する有用性に着目して
解良 優基三和 秀平
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2019 年 43 巻 2 号 p. 175-183

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抄録

学習した知識や技能の有用性を考える有用性思考方略を測定する尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的として,大学生108名に質問紙調査を行った.探索的因子分析の結果,日常生活における有用性を考える日常思考方略と職業上の有用性を考えるキャリア思考方略の2つの下位尺度が得られた.日常思考方略は日常的利用価値と,キャリア思考方略は制度的利用価値および実践的利用価値とそれぞれ高い相関が得られ,両者の弁別可能性が示された.また,有用性思考方略は自律的調整方略および精緻化方略と相関を示しており,学習内容を身近な物事と関連付けて考える方略と,動機づけを維持・促進する方略の両方の要素を含んだものであることが示唆された.さらに,有用性思考方略が利用価値認知を媒介し,興味に影響するプロセスも確認され,先行研究と整合する結果が得られた.以上より,尺度の信頼性と妥当性に関する証拠が複数の観点から確認された.

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© 2019 日本教育工学会
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