2020 年 44 巻 1 号 p. 135-143
本稿は,直接的・具体的な体験が重視される幼児教育へのICT 導入の可能性を探るために視察した,深圳市というハイテク産業都市における公立幼稚園の状況を報告するものである.視察した幼稚園では,すべての子どもがウェアラブル端末を腕にはめ,さまざまなバイタルサインや位置情報が把握されていた.また,保育室にはスマートスピーカーや,カメラ付き大型モニター,AI 搭載の小型ロボット,プログラミング教育玩具が置かれ,子どもがそうしたICT を備えた環境に身を置き,かつ,教育として積極的に導入する実態があった.技術的課題や導入効果の検討の必要性等の課題もあるが,ICT 導入に関する先進的な取り組みは,今後の幼児教育分野へのICT導入について示唆を与えるものと言えるだろう.