2021 年 44 巻 Suppl. 号 p. 21-24
教師の学習に関するメタ認知的知識の不正確さは不適切な指導へとつながる.例えば効果があるなら体罰もやむなしとする考えもある.しかし罰を用いて行動傾向を変容させることは非常に困難であることが知られている.したがって児童・生徒の不適応行動への指導に罰を用いることは倫理的にも科学的にも不適切である.そこで本研究では,教員養成課程の学生や現職教員が体罰についてどのように考え,その効果についてどのような知識を持っているか検討した.その結果,いずれの者も体罰が有効でないことを完全には否定できなかった.また教職課程での学習や現場での経験が体罰に関する倫理的な態度の形成や体罰の有効性の否定につながる可能性が示された.