2022 年 46 巻 1 号 p. 131-140
本稿では,学校とボランティアとの協働でなされる学校地域間連携活動に着目し,ボランティアにより生成される新たな教育実践の構築過程に関して分析を行う.本稿では,研究対象となる活動に参加するボランティアが,プログラミング的思考の育成への対応を検討していた小学校の学校管理職とともに,交通安全教室において「プログラミングカー」を活用する教育実践の構築する過程に焦点を当てた.分析の結果,実践構築の場が試行錯誤可能な「実験的領域」として機能し,異なる年齢や専門性を有するボランティアや学校教職員の多様な視点が入るなかで,その実践開発が進展し実践自体の解釈や意図が深化することが明らかとなった.以上より,学校や地域社会という単体では実現できない実践が,「実験的領域」と多様性の担保により可能となることが示された.本稿で得られた知見は,当該活動が教育に関する新たな観点を創造する契機として機能することを提起する.