日本教育工学会論文誌
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教育実践研究論文
児童が保持する電流の素朴概念の明確化と科学概念への変容を支援するAR 教材および指導法に関する一考察
木下 博義岩﨑 泰博
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2022 年 46 巻 1 号 p. 141-156

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抄録

本研究では,児童にとってイメージしにくい学習内容を視覚的に補助するAR 教材を作成するとともに,その教材を用いて児童の保持する素朴概念を科学概念へ変容させる指導法を考案し,効果を検証することを目的とした.この目的を達成するため,タブレット端末を用いて電流のモデルを実験器具やワークシート上に重畳表示するAR 教材を作成するとともに,他者との話し合い活動を通して児童の素朴概念を明確化させ,それと科学概念の間に認知的葛藤を発生させることにより,概念変容を促す指導法を考案した.そして,小学校第4学年の児童を対象にした授業実践ののち,概念理解に関する調査問題とワークシートを分析した.その結果,取り入れたAR 教材と指導法は,電流に関する方向の概念や,連続かつ保存の概念のうち保存性の要素の理解に寄与したことが明らかになった.

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© 2022 一般社団法人日本教育工学会
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