2022 年 46 巻 Suppl. 号 p. 21-24
「主体的・対話的で深い学び」を目指す中で,協同場面を模して複数人の会話場面を再現した文章(対話型テキスト)が教材等として用いられることが増えている.しかしながら,その理解過程に関する検討は少ない.また,その形式の特徴から,他者の心の状態について推論する能力である「心の理論」の個人差によってその読解のしやすさも異なる可能性がある.そこで自閉症スペクトラム症の特性と対話型テキストの読解成績との関係について検討した結果,細かなことへのこだわりが強いという特性を持つ場合,むしろ対話型テキストの読解成績に優れることが示された.会話の中に含まれる細かな修辞情報を利用して深い理解となった可能性がある.