2023 年 47 巻 1 号 p. 105-116
発信者を意識する授業が大学生のインターネットニュースの評価に与える効果について,2つの実践を行い検討した.本研究では,「発信者」を単なるメタ情報としてではなく,国語科教育における「書き手」のように,情報本体を評価するための手がかりとして捉える.そのため,授業には,発信者の多種多様性を知る講義と,発信者を具体的に意識できるワークが取り入れられ,多種多様な発信者の視点や立場や意図が記事本体に反映されていることを理解できるようにデザインされた.「実践群は対照群に比べて,インターネットニュースを評価するときに,記事本体に関する評価規準を用いるようになる」という仮説を立て,授業実践して検証したところ,仮説の通りの結果が得られた.また,実践群の発信者の多種多様性の理解と記事本体に関する評価規準との間には,対照群には見られない関係性が見られた.