2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 77-80
学校では協同への関心が高まり「協力」の要素を含む学級目標が設定されることが増えているが,このような環境要因の違いによって協同中の行動にも違いが生じるのだろうか.本研究では,協同的な問題解決場面において「2人で協力して取り組もう」と「一生懸命取り組もう」の標語のいずれかを提示することで課題への取り組み方に差が生じるかを検討した.洞察問題への取り組み過程を比較したところ,「2人で協力して取り組もう」を提示された方が協同中の発話数が多い傾向があり,「一生懸命取り組もう」を提示された方が解決に近づきやすいことが示された.したがって,標語という環境からの影響を受けて問題解決時の行動が変わると言える.