日本教育工学会論文誌
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47 巻, Suppl. 号
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ショートレター
  • 松島 るみ, 尾崎 仁美
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 1-4
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/08/25
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,大学生を対象としたオンライン授業観尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった.大学生124名の測定値をもとに因子分析を実施した結果,「学習効果の高さ」「個別最適な学習の促進」「学習・授業意欲の低下」「学習の進めにくさ」の計4因子が抽出された.これら4因子とオンライン授業に対する自己効力感,オンライン授業の効果的活用に関する自己評価,自己調整学習方略との関連を検討したところ,「学習効果の高さ」「個別最適な学習の促進」はオンライン授業に対する自己効力感やオンライン授業の効果的活用に関する自己評価と正の相関を示したことから,本尺度は一定の妥当性を有していることが明らかになった.

  • 鈴木 啓太
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 5-8
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/10/27
    ジャーナル フリー

    本研究では総合的な探究の時間(以下,総合探究)における生徒の達成感に影響を与える要因を検討した.生徒が自ら取り組むテーマを設定するという総合探究の特徴と,課題選択の仕方に影響を与える個人特性として知られるマインドセット(能力の可変性に関する信念)の影響を検討した.高等学校の生徒を対象に調査を実施した結果,テーマを柔軟に変更した経験の少ない生徒の場合,能力を固定的に捉えるほど達成感は下がるが,そういった経験の多い生徒の間ではマインドセットによる差は見られなかった.テーマを変更する経験が達成感に与える影響が生徒のマインドセットによって異なることが示唆された.

  • 石原 浩一, 泰山 裕
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 9-12
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,単元内自由進度学習において懸念される学力低下が,クラウドの活用によって緩和・解消されるかを明らかにすることである.公立小学校第4学年の児童を対象に,理科においてクラウドを活用した単元内自由進度学習の授業実践を行った.単元末テストの結果を実験群と統制群で比較した結果,全体及び低位層において有意な差は認められなかった.また,クラウドによる他者参照と学力の関係を検討した結果,非参照群と比べて参照群の方が有意に学力が高かった.これらのことから,クラウドを活用した単元内自由進度学習では学力低下は起きず,他者参照の機能が学力に肯定的な影響を与える可能性が示唆された.

  • 林原 慎, 松永 航
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 13-16
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,「総合学習における社会情動的スキル」がどのような構造になっているのかを明らかにした.また,「総合学習における社会情動的スキル」が高い児童はどのようなことができるようになったと感じているのかについて,その傾向を明らかにした.小学校4年生から6年生の計695人から得られた回答に対して,因子分析を行った結果,「協調性」,「開かれた心」,「表現への積極性」,「粘り強さ」,「感情制御」の5因子が抽出された.「総合学習における社会情動的スキル」の合計得点の高/低得点群で対応分析を行った結果,高得点群で「興味」,「協力」,「粘り強い」,「受容」,「意見」,「自主」等の「総合学習における社会情動的スキル」の下位概念に関連するような語が見出された.また,「相違」,「問題」,「行動」といった語も高得点群で見られた.

  • 福山 佑樹, 森田 裕介
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 17-20
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2024/01/10
    ジャーナル フリー

    本研究ではキャリア教育において大学生が獲得すべき意識として未来展望に注目し,過去・現在・未来にわたるストーリーに他者からの視点を与える教材として「かってにハッピーエンドゲーム」を用いた実践を行った.実践の結果,ゲームを用いた実践には他者からの視点を与えることで大学生にネガティブな未来展望を減少させ,ポジティブな未来展望を獲得させる効果があるが,現在・過去に関する時間的展望に与える影響は少ないことが分かった.

  • 吉岡 学
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 21-24
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    場面緘黙症の介入結果の評価方法は,介入者がビデオ観察やチェックリストなどを用いて目視による間接的観察法によって行われていた.そのため介入結果に対する評価には多大な時間を費やし,介入効果の客観的な評価に欠ける恐れがあった.本研究では,場面緘黙症の生徒に介入を実施した際の介入結果の評価方法として身体リズム周波数を用いた手法を提案する.場面緘黙症児1名に対する介入結果に対して実施したところ,身体リズム周波数によって場面緘黙児の発話に至るまでの介入結果を評価できる可能性が示された.

  • 八木澤 史子, 遠藤 みなみ, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 25-28
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    情報端末を活用した授業における机間指導中の学習の自律性に関する教師の発話を分析した.2名の教師の発話を学習の自律性の支援の観点から分類した結果,いずれの教師の発話も90%以上が学習の自律性の支援に関する内容で,その内容は,児童の行動の意図を尋ねる「意図」,児童の活動にヒントを与える「ヒント」など9種類のカテゴリに分類された.また,教師の発話の約20%が情報端末の活用に関連する内容だった.一方,教師A,B の発話は,観察されたカテゴリは共通していたものの,多く観察された発話のカテゴリは異なり,教師A は「ヒント」「意味や理由の説明」が多く,教師B は「意図」「代弁」が多く観察された.

  • 亀岡 恭昂, 小玉 祥平
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 29-32
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/10/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,読解方略の産出欠如克服のために,読解方略を協調的な読解問題解決の文脈で学ぶ教育プログラムをデザインし,物語文及び論説文における10個の読解方略について中学生12名を対象に実践し,読解方略の有効性認知や効力感,コスト認知の観点からその効果を検討した.質問紙への回答と振り返り記述を総合したところ,全方略で有効性の認知が向上し,一部方略では効力感向上やコスト認知低減がみられた.また,読解問題解決の文脈で読解方略を学ぶことは読解方略習得に寄与した可能性も示唆された.一方で,協調が読解方略習得に寄与するには,学習者が読解方略の活用方法を具体的に共有することが必要である可能性も示唆された.

  • 北神 慎司, 酢田 千晴, 細川 亜佐子
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 33-36
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,東京2020パラリンピックのスポーツピクトグラムを実験刺激として,静止画および動画という提示形式の違いが,ピクトグラムの視認性に対して与える影響について検討した.視認性を評価するために,視覚探索課題を用いた実験の結果,探索の正確さと速さのいずれの点においても,静止画ピクトグラムの優位性が示された.この結果は,ピクトグラムの情報量および課題特性によってもたらされたものであると解釈された.今後は,結果の一般性をはじめ,たとえばAAC の実践活動に対する示唆が得られるような視点に立って,理解度もあわせた検討が行われることによって,多くの研究知見が蓄積されていくことが望まれる.

  • 葛城 元, 黒田 恭史
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 37-40
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本稿では,高校2年生38名を対象に数学のオンライン学習を対面授業と併せて約10か月間行い,オンライン学習と対面授業に対する高校生の意識について,質問紙調査をもとに検討した.オンライン学習の理解度に基づく学力層において,上位層は効率的な授業運用を評価する点,中位層は学習内容を理解するために,下位層よりも動画教材を効果的に利用しようとする点,下位層は学習内容が理解できないことに生じる欠点に対して不安を抱く傾向にある点が示唆された.

  • 太田 直斗, 北神 慎司
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 41-44
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究は,視覚シンボルの意味明瞭度を規定する要因として,シンボルが示す概念の「心像性」と概念をシンボル化したときの「日常重要度」に着目し,動画シンボルと静止画シンボルに対して意味明瞭度を調べた北神・室井(2005)の調査データを対象として分析をおこなった.その結果,静止画シンボルの場合においては,シンボルの日常重要度が高いほど意味明瞭度が高くなることが明らかとなり,さらに,シンボルのタイプに関わらず,心像性が高いほど意味明瞭度が高くなることが明らかとなった.これらの結果は,わかりやすいシンボルの開発のためには,デザインの工夫のみならず,シンボルが示す概念の性質にも目を向ける必要があることを示している.

  • 山本 朋弘, 中尾 教子, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 45-48
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,中学校での情報端末の持ち帰りによる家庭学習において,事前にデジタル教材にマーキングすることで生徒の授業参加に関する意識が変化するか,アノテーションとしてのマーキングの効果を分析した.マーキングの有無による比較分析の結果から,事前にマーキングする学習活動によって授業の中で考えが可視化され,生徒が授業に参加しやすいと感じていることが示された.また,教師へのインタビュー調査から,教師が生徒の考えを事前に把握すると共に,授業中にも考えを把握・共有することで,話し合い等に時間を割くことができる等,端末持ち帰りによる家庭学習でのマーキングが有効であることを明らかにした.

  • 犬塚 美輪
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 49-52
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,コロナ禍のオンライン授業における自己調整学習方略の使用が,学習に関する自己評価を予測するか検討した.大学生を対象としたオンライン調査の回答(n =625)を構造方程式モデリングによって分析した.その結果,自己調整学習方略のうち「予見」「精緻化」「振り返り」「教員への援助要請」「学習と生活の調整」の使用が,学習における「熱意・満足」の自己評価の高さを予測した.特に「精緻化」方略は「熱意・満足」との関連が強かった.また,「予見」「精緻化」「教員への援助要請」「学習と生活の調整」の使用頻度が学習の「苦痛・ストレス」の低さを予測する一方,「友人への援助要請」方略は「苦痛・ストレス」の高さと関連した.

  • 高野 敦子
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 53-56
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    テキストアナリティクスの手法の発達によって,テキスト形式の教育データの活用による授業改善が進展している.本研究は,テキストマイニングツールを活用して,学修者の基礎力・習熟度と学修の動機・意欲対象の特徴の関係をモデル化した.客観的なデータ分析結果と教育者の経験から得られた知見を融合する枠組みを用いてモデル構築を行なうことにより,エビデンスに基づいた授業改善が実現できる.この枠組みの導入により,経験的知見に基づく議論が中心となりがちだった学修者の特性を客観的に可視化し,学修動機や意欲の個人差を考慮した授業内容や構成の提案につなげたい.

  • 三井 一希, 藤森 啓太, 戸田 真志
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 57-60
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    小学生を対象に,AI(Artificial Intelligence)による画像認識機能の体験を組み込んだ水産業に関する授業を開発し,授業実践を通じた評価を行った.質問紙やインタビュー調査の結果から,開発した授業は児童や教師に概ね好意的に受け止められること,児童が水産業への興味や関心を高めたりすることに寄与する可能性が示された.また,自分にとって身近な問題として児童が学習に取り組める可能性が示唆された.

  • 熊井 正之, 森 つくり, 石川 美希, 橋本 陽介
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 61-64
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    聴覚障害者と聴者が受講し,情報保障のために音声認識技術を用いた字幕を提供している討論型授業において,修正者による字幕のリアルタイム校正を行った場面と行わなかった場面の字幕の有効性(字幕理解度),役立感,満足感,継続利用希望等を定量的・定性的に比較して校正効果を検討した.その結果,校正を行わなかった場面に比して,行った場面における字幕の有効性,役立感,満足感,継続利用希望は有意に高いこと等が確認され,校正の必要性と校正効果の高さが示された.他方,校正時間による討論への参加困難の問題を認識し,発話や進行に配慮する必要があることが示唆された.

  • 福井 昌則, 黒田 昌克, 前田 まどか, 雨宮 久仁
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 65-68
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,教員の自己効力感と探究的な学習に対する意識および実践状況との関連性について検討し,探究学習に関する教員研修の充実化に向けた基礎的知見を得ることである.小学校教員209名,中学校教員209名,高等学校教員210名を対象に,探究学習の実施状況,探究学習指導年数,イメージ,重要性,指導の自信,および自己効力感についての調査を実施した.その結果,自己効力感の高い群は,低い群と比べ,探究学習に関わった経験が多く,探究学習に対するイメージおよび探究学習指導の自信が有意に高い傾向が認められた.

  • 山下 祐一郎
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 69-72
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    プレゼンテーションを作成する手順のひとつは,Web サイトから情報を収集し,その内容を整理し,発信することが挙げられる.この手順はSNS の記事執筆時にも見られる.この類似性に着目し,100文字記事の執筆によりプレゼンテーション能力の育成が可能かを検証する.このため,まず,大学生23名に100文字程度の記事を執筆する活動を実施した.このとき,執筆回数が増えると本文を短い文字数で整理できるようになる可能性を確認した.次に,執筆した学生のうち11名と執筆していない11名が作成したプレゼンテーションのビデオを比較した.この結果,より多くの情報を収集しつつ,少ないスライドにまとめることができるようになる可能性が示唆された.

  • 川妻 篤史, 溝口 侑
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 73-76
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    高等学校では,アクティブラーニング型授業が広まるなか,その効果について検証することが求められている.本研究では,学期末アンケート調査のパス解析により,授業における主体性・協働性・ふり返りがどのように授業理解につながるのかを分析した.分析の結果,ふり返りは主体性・協働性を媒介することで授業理解につながっていることが明らかとなった.

  • 平見 真希人, 今井 由衣佳, 藤木 大介
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 77-80
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    学校では協同への関心が高まり「協力」の要素を含む学級目標が設定されることが増えているが,このような環境要因の違いによって協同中の行動にも違いが生じるのだろうか.本研究では,協同的な問題解決場面において「2人で協力して取り組もう」と「一生懸命取り組もう」の標語のいずれかを提示することで課題への取り組み方に差が生じるかを検討した.洞察問題への取り組み過程を比較したところ,「2人で協力して取り組もう」を提示された方が協同中の発話数が多い傾向があり,「一生懸命取り組もう」を提示された方が解決に近づきやすいことが示された.したがって,標語という環境からの影響を受けて問題解決時の行動が変わると言える.

  • テクノロジーに対する親和性に着目して
    石澤 颯大, 岐部 智恵子, 青山 郁子
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 81-84
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2024/02/01
    ジャーナル フリー

    本研究ではコロナ禍を経験した大学生を対象に,2020年度のオンライン授業の受講割合,テクノロジーに対する自己効力感,態度,有用性の認知,不安について調査し,各要因がオンライン授業や対面授業など授業形態の希望にどのように関連するか検討した.分析の結果,テクノロジーに対する態度が有用性の認知に有意な正の効果を示し,自己効力感が不安に対して有意な負の効果を示した.また,テクノロジーに対する有用性の認知はオンライン授業の継続希望と有意な正の関連を示し,対面希望と負の関連を示した.一方,テクノロジーに対する不安は対面授業希望に対してのみ有意な正の効果を示した.さらに,多母集団同時分析の結果,オンライン授業経験が多くテクノロジーの有用性認知が高いほどオンライン授業継続を希望することが示された.

  • 篠ヶ谷 圭太, 福本 雅俊, 山本 愛美, 入 英樹
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 85-88
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本実践では高校3年生42名に対して,教科間の知識を関連づける精緻化方略の使用を促し,学習の利用価値の認知を高めることを目的として,物理と数学を関連づけた教科横断型の指導を行った.対象となった生徒は高校2年生までに教科横断型の指導を9回受けていたが,それだけでは十分ではない様子が見てとれたため,高校3年では,数学と物理を関連づけた教科横断型の指導を3回実施しただけでなく,教科横断的な思考を必要とする問題を定期考査でも出題するようにし,考査の前後には別教科からの解法について解説を行った.こうした改善の結果,事後の質問紙調査では教科間の知識を関連づける精緻化方略の使用や,「今勉強していることが他の教科に役に立つ」など,学習の利用価値の認知が有意に向上し,教科横断型の指導が学び方や動機づけに寄与することが示唆された.

  • 堀田 雄大, 八木澤 史子, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 89-92
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,教員5名に対して,動画視聴による研修への指向性と意識について実態を調査した.結果,肯定的に捉えている理由には,自分のタイミングで学習を進めることができる,学習の機会が増えたり繰り返し復習ができたりすることができる,という内容が抽出され,否定的に捉えている理由には,他者とのつながりが必要,一人で取り組むことが必ずしも集中につながらないといった内容が抽出された.このことから,今後,動画視聴による研修については,教員個別のペースを保障できる期間や学習環境を設けること,相互評価や交流を取り入れたりすることなどの研修内容の改善に繋がる視点について示唆を得た.

  • 手塚 和佳奈, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 93-96
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/10/27
    ジャーナル フリー

    Web から信頼できる情報を収集するための批判的思考の技能を児童が獲得できるようにする手立てを検討することを目的に,小学校第5学年1学級を対象に批判的思考の技能を学ぶテキストを活用した実践を1ヶ月間実施した.その結果,Web からの情報収集について基礎的な指導を受けている学級においては,①教科等の学習の文脈で児童がWeb から情報を収集する際に,自分の必要とするタイミングでテキストを参照でき,②学習した批判的思考の技能を実際に発揮しながら鍛えることができる学習環境が,手立てとなることが示唆された.

  • 板垣 翔大, 岡本 恭介, 板橋 薫, 安藤 明伸, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 97-100
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/06
    ジャーナル フリー

    中学校音楽科における混声四部合唱の練習において,生徒による楽譜へのマーキングをハイライトする機能を活用した実践を行い,学習者間や実践者との間で合唱の練習状況を共有することの有用性や自己調整学習の観点から評価した.その結果,共有した情報に基づいて練習の方針を考えられる点で学習者がマーキングをハイライトする機能の有用性を感じていたことや,自己調整学習の能力の中でも特に自己効力感の高まりに寄与することが示唆された.

  • 煮雪 亮, 中谷 圭佑, 遠藤 正則
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 101-104
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,高校での物理基礎の授業において生徒の主体的な学びの実現を目指した反転授業デザインを考案し,実際に年間を通して授業実践に取り組むことで授業デザインの評価を行った.その結果,アンケート調査では2019年度・2021年度ともに全体の約6割以上の生徒が主体性が身についたと実感しており,提案授業デザインが長期的実践を通して生徒の学びへの主体性の涵養に有効であることを確認した.また,相関分析から授業を通した知識定着やコミュニケーション力が身についたという実感が生徒の学びへの主体性を支えていることを示唆する結果を得た.

  • 稲木 健太郎, 泰山 裕, 大久保 紀一朗, 三井 一希, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 105-108
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/09/04
    ジャーナル フリー

    本研究は,思考ツールの選択に関するメタ認知にクラウドで共有した他者の振り返りの参照が与える影響を検討することを目的とした.小学校第4学年児童を対象に,思考ツールの選択に関する振り返りをクラウドで学級内へ共有し,参照させ,改めて自覚したことがある場合は振り返りを追記させた.参照前の振り返りにおいてメタ認知に該当する記述数の多かった群を高群,少なかった群を低群とし,記述の分析とインタビューにより参照の影響を検討した.結果,参照が高群と低群のメタ認知を促すこと,参照により,低群では特に自覚が困難だった経験が,高群では特に無自覚になっていた経験が想起され,メタ認知につながったことが示唆された.

  • 滝沢 雄太郎, 佐藤 和紀
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 109-112
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2024/01/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学校で1人1台の情報端末を活用した授業において,校内の情報教育係の推進教員と担任教員とのティーム・ティーチングにより,ICT に関する教授知識の習得を目指した研修を行った.そして,担任教員のICT に関する教授知識に与える影響とその要因を検討することを目的として質問紙調査,授業記録,半構造化インタビューを実施した.その結果,ティーム・ティーチングが担任の教授知識に影響を与えていた.その要因として,担任が支援者の立場で推進教員の指導や児童を観察できる環境,担任が授業者の立場で推進教員に機器操作や指導を即座に質問できる環境であることが示唆された.

  • コロナ禍中の経験と効力感に着目して
    田口 真奈, 稲葉 利江子, 高比良 美詠子, 辻 靖彦
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 113-116
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,コロナ禍においてオンライン授業を実施した教員を対象に,オンライン授業の経験とそれによる効力感が授業におけるICT 利用に対する信念にどのように影響し,さらにそれがオンライン授業実施意欲に影響を与えたかを検討した.その結果,ICT 利用に対する信念は,効果,効率,抵抗感という3つの因子でとらえられること,オンライン授業実施意欲に直接影響しているのは,効果,抵抗感であること,信念に最も影響を与えるのは学生の受講態度であることが示された.そして抵抗感は,オンライン授業の経験による授業方略効力感とICT 活用効力感が高いほど軽減され,抵抗感が下がるとオンライン授業の実施意欲が向上する可能性が示唆された.

  • 応用演劇ワークショップを例に
    菊池(永井) ゆみこ(祐美子), 平野 智紀, 山内 祐平
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 117-120
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/10/06
    ジャーナル フリー

    本研究では熟達した応用演劇ファシリテーターと初心者のワークショップ・プログラム中の視線配布傾向とその意図の比較を行った.姫野(2020)の手法を元に,熟達した応用演劇のファシリテーター,初心者それぞれのワークショップ・プログラム実施中の視線映像を記録し,映像を用いた再生刺激インタビューを行った.その結果,熟達した応用演劇ファシリテーターはプログラム実施中に参加者全体に意図的に視線を配布する傾向があること,また視線配布数がプログラムの時間経過に伴い減少することがわかった.

  • 百岳 仁美, 藤木 卓
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 121-124
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,英語の楽しさを教えるために,フロー理論に基づく小学校外国語科の授業実践を行い,その効果について興味理論を援用して検証することを目的とする.フロー理論に基づく小学校外国語科の単元をデザインし,6年生を対象に全8時間の授業実践を行った.児童の毎時間及び単元末のふり返りの記述を分析した結果,資質・能力に関する情意的側面と認知的側面を含む4種類の成長過程が見られた.そしてそれらは,「楽しさ自覚過程」から「楽しさ維持過程」,「外国語の資質・能力向上自覚過程」を経て「外国語の資質・能力向上追求過程」へと,興味理論に沿う形で進展していくことが示唆された.

  • 遠山 紗矢香, 山田 雅之
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 125-128
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究は児童生徒がプログラミングに対してジェンダーに関連するイメージを持つことに,何が影響するのかを検討した.3,000名の保護者が,子である児童生徒と共に回答した保護者と児童生徒向けアンケート調査について二項ロジスティクス回帰分析を実施した.その結果,プログラミングに関心がある人として女性を明示的に含む,及び算数・理科が得意な人プログラミングが得意な人とを関連付けるという2つのイメージを持つことに対して,児童生徒自身のプログラミング体験の有無,保護者のプログラミング教育必修化に関する知識の有無,知人・親族がIT 関連の仕事に就いているか否か,の3つが影響していたことが示唆された.

  • 長谷川 元洋, 木原 俊行, 山本 朋弘, 中橋 雄, 今野 貴之, 水内 豊和, 関戸 康友
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 129-132
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    オンラインコンサルテーションの取り組み初年度の課題の一つである「協働性の充実」を図るために,初年度の定期レポートとそれへの回答によるテキストベースでのコンサルテーションに加え,Web 会議システムを利用して「チーム別定期ミーティング」と「中間発表会」を実施した.その結果,オンラインコンサルテーションを充実させることができ,実践研究の質を向上させることに寄与していることが推察された.

  • 芥川 元喜
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 133-136
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    授業リフレクション(集団リフレクション)において,授業リフレクション参加者と授業者とで,授業場面の主観的理解が異なることがある.本研究ではこのことを「リフレクション・ギャップ」(ref lection gap)と定義する.実習生の授業を対象にして,授業リフレクションを行った際に,参加者と授業者に「リフレクション・ギャップ」が起きた.そこで,その「リフレクション・ギャップ」が起きた事象について「継続的授業リフレクション(新たな集団リフレクションを行うこと)」を実施したところ,授業者の学習者理解の不足に基づいた,指導方法を改善する必要性に関する気づきが確認できた.この結果は「リフレクション・ギャップ」場面に焦点化し,授業リフレクションを継続して実施する,新たな授業リフレクションの方法が有効であることを示唆している.

  • 日下 大輔, 板垣 翔大, 川田 拓, 大沼 久美子, 遠藤 伸子, 久保田 美穂, 松﨑 美枝, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 137-140
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,児童生徒が入力可能な保健室への来室情報の記録システムを開発した.本システムの主な機能は,来室者が主訴に応じてその詳細や程度などを入力・蓄積する機能と,蓄積された情報を養護教諭が一覧できる機能である.本システムの評価の結果,養護教諭の職務の効率化への期待や,蓄積された来室記録から指導上の参考になる情報が得られる可能性が示唆された.

  • 木原 俊行, 野中 陽一, 小柳 和喜雄
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 141-144
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    教職大学院の実務家教員が研究活動の見通しを確かにするための協働的プログラムを開発した.当該プログラムでは,教職大学院のスタッフ(実務家教員,研究者教員)が,自らの取り組み(教育や研究等)を文章化したもの(論文,書籍,報告書等)を持ち寄り,その特長等を語り合った.プログラムにおける参加者の発言の計量テキスト分析の結果から,プログラムの部構成の妥当性,所属する大学による参加者の発言内容の違いが確認された.また,終了後のアンケートに対する実務家教員の回答から,プログラムの目標がある程度達成されたことが確認された.

  • 中原 久志, 大津 春輝, 市原 靖士
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 145-148
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,大学生を対象としたスマートフォン依存尺度を作成し,スマートフォンの利用状況等との関係性を探索的に把握することである.大学生を対象とした予備調査及び探索的因子分析の結果,5因子15項目(「健康被害」,「過度な撮影」,「所持不安」,「動画の過剰視聴」,「SNSへの参加意識」)からなる大学生のスマートフォン依存尺度を構成した.本調査における確認的因子分析の結果,予備調査で構成した因子構造が維持されていることが確認された.また,利用状況等との関連性を検討したところ,スマートフォンに依存していると認識している学生は各因子の平均値が高く,性別や使用時間によっても差異があることが明らかとなった.

  • 森 晶子, 清水 佑輔
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 149-152
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/07/21
    ジャーナル フリー

    2021年4月に,東京大学先端科学技術研究センターの中に発足した「先端教育アウトリーチラボ(AEO)」では,主に高校生以下を対象に,多様な教育実践に取り組んでいる.その教育実践の一つに,全国の高校等による個別の希望に応じ,先端研で取り組まれている学際的な研究内容に関して,当該研究が行われている場で,研究者及び大学院生等と生徒が対話し学びを深める「先端研リサーチツアー」がある.本研究では,このような体験によって,高校生がどのような学びを得ているのか,アンケート結果から分析した.その結果,相当数の生徒が,教科や科目の枠組を超え,教科横断型で文理融合的な視座を得たことが示唆された.

  • 澤山 郁夫, 永田 智子, 海﨑 孝斗, 藤原 雅弘
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 153-156
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,日本で実施されたオンライン調査におけるサンプルの二次分析を通して,回答端末と自由記述量の関係について検討した.その結果,設問によっては,回答者の年齢を統制した上でも,スマートフォンでの回答者はPC での回答者と比較して自由記述量が少なくなる傾向が示された.傾向が明確には検出されなかった設問もある点に留意する必要があるものの,本研究の結果は,日本においても,スマートフォンでの回答はPC での回答よりも,自由記述量が抑制される可能性を示している.

  • 海﨑 孝斗, 澤山 郁夫, 永田 智子, 藤原 雅弘
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 157-160
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/07/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,大学生における手書きとタイピングによる日本語記述速度を比較した.またこの際,大学生は,手書きとタイピングではどちらがより速く記述することができると考えているのかという事前予想の正確性にも着目した.その結果,過半数(77.44%)の参加者がタイピング条件のほうが速い(ある定型文について,1分間でより多くの文字数を記述することができる)と予想したにも関わらず,実際には,タイピング予想群と手書き予想群のいずれにおいても,手書き条件の方が,1分間に記述した有効文字数がより多かった.

  • 中澤 明子
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 161-164
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/06
    ジャーナル フリー

    本論文では,対面授業において,すべての学習活動を授業時間中に行う授業中実践と,エキスパート資料の読解までを事前学習とする事前学習実践とを行い,それらに対する学生の認識を調査した.その結果,エキスパート資料の読解は事前学習実践のほうが内容の理解や議論の深まりをより促すと感じていること,エキスパート活動・ジグソー活動での説明や議論は学生によって感じ方にばらつきがあること,事前学習実践のほうが内容の理解が深まり,授業に参加しているという感覚を持つ一方で,最も好むのは授業中実践であることがわかった.また,対面して活動することの意義・目的を学生に伝えることが事前学習への取り組みを促す可能性が示唆された.

  • 長谷川 文子
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 165-168
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究は,国語と英語の自己効力感,TOEIC スコアとの関係を明らかにすることを目的とし,英語専攻の大学1年生81名を対象に調査した.英語自己効力感の高低により群分けし,国語自己効力感およびTOEIC スコアの差を分析した結果,英語自己効力感上位群は国語自己効力感,TOEIC スコアともに高い傾向が示された.また,英語自己効力感の程度はその後の学習持続性・達成・学業成績の予測値となるのかをTOEIC スコアを使って経時的比較をした.その結果,上位群のTOEIC スコアは,下位群と比べて1年後も有意に高く伸びていたことから,第2言語における自己効力感は,学習達成度にも影響し,予測できる可能性が示唆された.

  • 菊島 正浩
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 169-172
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2024/01/19
    ジャーナル フリー

    大学生23名を対象として,前半をオンデマンド型遠隔授業,後半を対面授業とする批判的思考教育プログラムを実践した.本研究ではその実践効果を検討し,オンデマンド授業と対面授業の長所と短所について整理した.その結果,参加者全体では批判的思考態度・批判的思考力ともにプログラム参加前後で有意な変化は見られなかったものの,事前測定の時点では十分でなかった参加者の批判的思考力を底上げする効果が示唆された.また,オンデマンド授業よりも対面授業を好む参加者の多いことや,対面授業の長所がコミュニケーションの取りやすさにあること,オンデマンド授業にも自分のペースで学習を進められるという長所があることなどが示された.

  • 中西 良文, 梅本 貴豊
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 173-176
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,学習者が有する2つの自己効力感,すなわち,知識正確性に対する自己効力感と知識再構築に対する自己効力感に対して,概念教授ストラテジーに関する2つの方法(ル・バー対決型ストラテジーとル・バー懐柔型ストラテジー;伏見・麻柄 1993)の影響がどのように異なるかを検討した.その結果,2つの自己効力感ともに,最初の情報教示後に大きな変化が見られること,また,教授ストラテジーの違いによって,3時点間の知識正確性に対する自己効力感と知識再構築に対する自己効力感の相互影響の様相が異なることが見いだされた.

  • 小林 雄志, 高橋 光輝
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 177-180
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,大学でのライティング科目における最終レポート課題に対して学生の自己評価を実施し,その特徴について明らかにすることを目的とした.ライティング科目の受講生33名を対象に,ルーブリックによる自己評価を実施し,各項目の平均値や項目間の相関係数を算出した.その結果,文の体裁・文法表現に関する自己評価が他の項目に比べて低い傾向にあり,当該授業においてはこれらに関する練習の機会をより多く設ける必要性があることが示唆された.

  • 竹田 琢, 亀岡 恭昂
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 181-184
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/10/27
    ジャーナル フリー

    大学の授業でワークショップ実践者を育成する際,学生が読み手である教員を強く意識することで,多様なリフレクション記述が阻害される可能性がある.そこで本研究では,初心者を対象にワークショップ実践者育成を行う短期大学の授業において,仮想の読み手として「過去の自分」を設定することでリフレクションを支援し,その効果を検討した.その結果,単に経験を「報告」する記述が減り,自分自身が取り組んだ経験について省察する「応用」の記述が増え,多様な観点から批判的で将来の行動に繋がるリフレクションができるようになる可能性が示唆された.

  • 草本 明子, 高橋 純
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 185-188
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2024/01/19
    ジャーナル フリー

    物理基礎の問題演習において他者参照を活用した問題ごとの振り返りを行った.結果,つまずきの明確化への意識が向上し,要請回避が低下した.また,その過程で他者参照による理解の促進,協働意識,互恵的相互作用,見られる意識が効果的に作用したことが示唆された.一方,他者参照に対する否定的な意識には他者参照の有用性の認識が関連しており,他者参照されることに対する否定的な意識は,他者参照を長期間続けて日常化し,不安を軽減すること,他者参照の有用性の認識を起因とした互恵的相互作用を生起させることにより,肯定的な意識へ変化する可能性が示唆された.

  • 麻生 智史, 向居 暁, 西崎 友規子
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 189-192
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    ジャーナル フリー

    教育分野における情報通信技術の活用が検討される中,「学習の個別化」への注目が高まっている.本研究では,学習者の質的個人差としての制御焦点特性に着目し,制御焦点に適合したフレーミングによるフィードバック(FB)が英語学習者のモチベーションやパフォーマンスに与える影響を検討することで,学習者の制御焦点特性を考慮した英語学習支援システムを構築するための基礎的知見を得ることを目的とした.オンライン学習システムにおける約1ヶ月間の学習の結果,学習者に制御適合をもたらすFB を繰り返し提示することによって,課題成績の向上は認められなかったものの,課題に対するモチベーションや自己効力感が高まることが明らかになった.

  • 村上 唯斗, 当麻 由惟, 高橋 純
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 193-196
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,調整的にCBCL に取り組む児童1名の情報収集の特徴を明らかにした.結果,学習活動の決定権が児童にある分節では,児童は教科書の情報を基盤として,単語の意味等を検索して調べたり,他者のJamboard を参照したりして情報収集していた.学習活動の決定権が教師にある分節では,LMS を活用して学習課題や過程の例示を確認したり,Chat を活用して一斉の学習形態における他者の考えを確認したりして情報収集していた.これらの学習用ツールを介した情報収集は,学習活動の決定権に関わらず,学習過程の2/3にわたって行われていた.

  • 佐久間 大, 金高 右京, 後藤 匠, 長谷川 勝久, 佐藤 隆博
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 47 巻 Suppl. 号 p. 197-200
    発行日: 2024/03/20
    公開日: 2024/03/26
    [早期公開] 公開日: 2023/11/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,問題集に含まれる問題項目に学習要素を表す学習要素タグを付与し,それらの問題項目にISM 法を適用して,領域固有の知識構造・文脈に即した配列,構造化を図る手法を開発し,その有効性の検討を行った.本研究で開発した手法を,高校1年生が用いる数学IA の問題項目155個に適用した結果,特徴的な階層構造がある「因数分解」・「式の展開」の2つの問題群を確認することが出来た.また,数学科の教員を評価者とする評価実験を行い,2項目から成る質問紙に対する自由記述の回答を得た.これらの分析結果から,本研究で開発した手法を通じて問題項目間の大まかな構造を得ることが出来,教材構造分析に役立つことが明らかになった.

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