日本教育工学会論文誌
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論文
社会人の大学入学動機に対するコロナ禍の影響調査
田中 理恵子向後 千春
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2024 年 48 巻 2 号 p. 285-296

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抄録

本研究では,コロナ禍が社会人の学び直しにどのように影響しているかを明らかにすることを目的とした.その結果,以下のことが明らかになった.(1) 社会人は「自分の可能性と学習環境」,「学び直しと仕事への活用」,「友人と人脈の拡大」,「大学院進学と資格取得」を目的に入学していた.しかし,「友人と人脈の拡大」,「大学院進学と資格取得」は主な目的ではなく,副次的な要因であった.(2) 社会人はライフイベントを経験することによって自分の内面を見直す機会となり,新しい人生を再構築するために大学に入学していた.(3) コロナ禍は,社会人の生活に時間的余裕を与え,学び直しを促進させている可能性が示唆された.女性にとっては,在宅勤務によって得られた時間的余裕を学習時間に充足できるようになったことで仕事と家庭の両立が可能となり,大学入学動機につながっていると考えられる.また,オンライン授業は,社会人のフレキシブルな学びが可能な重要な学習環境であることが示唆された.

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© 2024 一般社団法人日本教育工学会
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