2024 年 48 巻 2 号 p. 297-310
本研究の目的は,異学年の学生とチームを組み大学の授業を支援する学生スタッフが,その経験を通してどのように自己形成しているのかを明らかにすることである.メディアリテラシーの授業で支援を行う学生スタッフ6名にPAC 分析(Personal Attitude Construct:個人別態度構造)を実施した.その結果,学生スタッフは,①先輩を通して見る理想自己と現実自己のズレ,②周りの期待に応えられず葛藤する自分,③他の学生スタッフと自分との相違,④授業支援の経験を通して得る成長と将来の見通し,⑤受講時と学生スタッフ時の視点の違い,⑥楽しさと辛さのバランス,という視点から授業支援の経験を捉え自己形成していた.また,その際に生起する感情が,学生スタッフが自己形成をする上で重要であり,それには,異学年の学生とチームになり授業を支援するという学生スタッフの長期に渡る活動のあり方が影響を与えていた.