2025 年 49 巻 3 号 p. 539-555
メディア・リテラシー (以下ML) の効果測定に関する先行研究における内容は,尺度生成やその尺度の信頼性・妥当性の検討が中心であった.本研究では比較的先行研究の多い小学校高学年を対象とし,尺度ではなく能力の獲得を測定するためのテスト形式でのデータ収集および対象となる児童の一部に対する聞き取り調査を行ったうえで,認知領域とML教育の効果との関連性を検証する.結果として小学校高学年の児童に対するML教育の効果が,特に批判的思考力の育成に関して一定程度あったこと,そして国語や算数の認知的スキルとメディア・リテラシーの能力獲得との関係性が示唆された.今後の課題として,MLテストの信頼性の検証や難易度を明らかにした設問の開発,MLの批判的思考力が実験群の児童に対して長期的に維持されるのか,などといったものが考えられる.