論文ID: 43084
我が国の教育工学研究におけるインストラクショナルデザイン(ID)研究の位置づけについて概観し,教育革新が求められている今日の研究基盤としてID研究が果たすべき役割について述べた.我が国では初等中等教育における授業設計と企業研修の文脈でのIDに乖離が見られた時期があり,その後高等教育には教員の能力開発(FD)の文脈でIDの諸概念が浸透していった.今後研究基盤としてIDが果たすべき役割として,デザイナーになり革新的な実践を共創すること,デザイン研究でIDの知見拡大に貢献すること,脳科学の知見でIDを再解釈・精緻化すること,次世代の大学を創出する一翼を担うこと,教えないでも育つ教育を実現すること,ID専門家育成上級講座に参画することを提言した.