論文ID: 43112
日本の高等教育の講義における,学生のエンゲージメントを効率的に促進する方法を明らかにすることを目的として,大学生を対象に学習経験レベルの概念に基づいた質的調査を行い,学習経験レベルの向上,低下,停滞に影響を与える要因の違いを検証した.収集したデータのテキスト分析により,学習経験レベルを向上,低下,停滞させる影響要因をそれぞれ抽出した.その結果,学習経験レベルの向上には,学習する科目の興味,価値の認知,学習成果の実感,授業の明瞭性,授業形式,将来との関連性が正の影響を与えていることが分かった.また,学習経験レベルの低下には,科目に対する関心・意欲の低下,他の授業の履修状況が正の影響を与えていることが示唆された.また,学習経験レベルの停滞にも,科目に対する関心・意欲と他の授業の履修状況が正の影響を与えている傾向が見られた.