論文ID: 45090
近年,スポーツ界では,多くのトラブルが取り沙汰され,スポーツ・インテグリティの保護・強化が注目されている.特に教育的アプローチが重要とされているが,スポーツ・インテグリティに関する トラブル の 実態調査は 少なく ,その実態は不明瞭な状況である本 研究では,スポーツ・インテグリティに関わる 10 項目のトラブルについて ,場面想定法を用いて選手や指導者のスポーツ・インテグリティ態度の実態 と規定する要因 を明らかにすることを目的とする. クロス集計の結果から, 10 項目のトラブルを相対的にみると 「セクハラ」「暴力」「差別 ・偏見 」のスポーツ・インテグリティ態度が低いことがわかった.また, 因子分析の結果から,スポーツ・インテグリティ態度の因子構造は 判断基準の明瞭性 によって分けられ, 判断基準明瞭場面と判断基準不明瞭場面 の 2 つで あることが示唆された.判断基準不明瞭場面は判断基準明瞭場面と比較すると,選手・指導者ともに問題行動 に共感しやすい 傾向にあった.