論文ID: 48072
先行研究では,予習が授業理解を促しうることが示されている.一方,予習を単に求めるだけでは,質の高い予習を行えない学習者もいることから,予習指導の必要性も示唆されている.そこで,本研究では,小学校6年生を対象に,算数の授業理解につながる質の高い予習を促す講座を実施し,その効果を検証した.質問紙調査を通じて,講座前後の予習頻度を調べたところ,講座前に比べて,講座2か月後に行った遅延質問紙において予習頻度の向上が認められた.また,未習範囲の教科書を予習させる予習課題でも,予習して気を付けたことの記述や疑問を表す記述が増加し,予習の質の面においても講座の有効性が確認された.考察では,本研究の成果を生んだ要因や残された課題について議論を行った.