本研究の目的は,学際系学部に所属する学生を対象に,卒業研究プロセスにおいて,ゼミ内での活動とゼミ外への越境経験がいかに関連し,学際的思考の形成に関与しうるのかを明らかにすることである.大学院進学予定者7名を対象に半構造化インタビューを実施し,M-GTAによる質的分析を行った.その結果,対象者は,卒業研究を行う中で,ある分野の専門分野を深化させる【ゼミ内の共同体での活動】と,そこでは解決できない問題に向き合うために【ゼミ外の共同体への越境】を行う形で,両者を関連づけていた.こうした【ゼミ外の共同体への越境】を契機に『多様な専門分野の認識』,『第二分野の知識・方法の獲得』を経て,自らの学問的立場が揺らぐ『専門分野の揺らぎ』と,その揺らぎを保持する中で最終的に自ら納得解を見出す『専門分野の取り入れと活用』によって,学際的思考が形成しつつあるプロセスが明らかになった.