論文ID: S49157
本研究では,感情の言語化に困難を抱える軽度知的障害生徒に対し,知的障害の特性に配慮した上で,認知行動療法に基づいた生成AI を活用し,感情表現支援を実施した.その結果,標的行動である不適切な言葉の表現はベースライン期 (週2~3回) から介入期 (週0~1回) へと減少し,感情表現に改善が見られた.また,自尊感情尺度の「自己評価・自己受容」と「自己主張・自己決定」の向上が確認された.担任教員へのインタビューからは,生成AI が従来の支援では困難であった側面に変化をもたらしたことが考えられた.生成AI は特別支援教育において,知的障害特性に配慮した個に合わせた感情理解支援・感情表現支援ツールとして活用できる新たな可能性が示唆された.