日本森林学会誌
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社会人基礎力を指標とした能力伸長評価と森林環境教育の有効性
―広島経済大学のPBLの事例―
中山 紘之松村 直人
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2018 年 100 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

 林業の不振や過疎・高齢化によって森林やその公益的機能を継承してきた農山村のコミュニティは疲弊してきている。近年,高等教育において,地域の課題や問題をテーマとしたプロジェクト型学習: Project Based Learning(以下,PBL)が行われるようになり,森林を地域資源として活用する例も増えてきた。本研究は,社会人基礎力の12の能力要素を評価指標にPBLに参加する学生の能力伸長を測定した。その内,森林環境教育の能力伸長と類似のPBLの能力伸長を比較した結果,森林環境教育の伸長率について,「ストレスコントロール力」,次いで「創造力」,「働きかけ力」が高かったが,その要因を検証するため主成分分析を行った結果,「ふりかえりによる達成感要因」,「活動内容要因」が影響しているものと判断した。特に森林環境教育の活動内容に影響した能力伸長は,状況把握力,規律性,ストレスコントロール力で,社会人基礎力の伸長に有意に作用する能力が明らかになった。

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© 2018 一般社団法人 日本森林学会
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